今日もガサガサ日和 Vol,40 オヤニラミワンド

2017年1月25日(更新日:2018年6月29日)
ガサガサ

先日、ふとオヤニラミ水槽を再度立ち上げたくなり、採集に向かった。今度は繁殖までやってやろう。向かった場所は私が勝手に「オヤニラミワンド」と呼んでいる自宅から30分ほどのワンド。以前にタナゴ採集の目的で見つけたワンドだが、オヤニラミがそれこそ「山のように」採れる場所である。

オヤニラミの分布は基本的に西日本であって、私の住んでいるエリアでは分布しないはずなのだが、そこはオヤニラミしか採れないと言っても良いほどなのだ。ある場所では絶滅危惧種に指定されて採取が禁止されているかと思えば、ある場所では国内外来種に指定されていたりする。人間の欲に撹乱される生き物の多い事この上ない。

水際の枯れた植生が溜まったところにタモ網を入れ、足で2,3回蹴り回す。吐息がどこまでも白く、どこかでけたたましくケーーンとキジが鳴く。ここ数日はこの冬一番の冷え込みだという。

狙った獲物が採れるのはそれはそれで快感である。未成魚のオヤニラミがすぐに入った。朽ちた葉っぱなどに隠れて冬をやり過ごしていたのだろう。鰓蓋の色は蠱惑的である。それからは一網ごとに必ずと言って良い程に採れる。

オヤニラミはちょっと変わった淡水魚である。一般的な目立たない、地味といった淡水魚イメージとは一線を画す存在と言えよう。名前からして斜め上的な響きを持つ。漢字にすると親睨。鰓蓋にある斑紋が睨んでいるようであるとか、卵が孵化するまでオスが見守り続ける様が外敵を睨んでいるようだとか名前の由来は諸説ある。スズキ目の魚であって、背ビレの棘は触ると痛い。

雪が散らついてきたようだ。しかし動き回っているせいでその冷たさが心地よい。同じポイントでも季節を通して通うと色々と発見があり、面白い。

▲夏の様子

浅瀬を泳ぎ回っているのはオイカワだけだが、やはり流れのない水際には他にも生き物が隠れている。そんな場所が沢山あるこのオヤニラミワンドは最高のガサガサポイントだ。水辺において最も大切なのは「水際」だと思う。水辺に限らず、境界が緩慢に徐々に変化していることこそが生き物にとって重要だなのだが、さて、身の回りの水辺や環境はどうなっているだろうか。

この日は小一時間ほどで、オヤニラミ、スミウキゴリ、フナ、ヌマムツ、ウグイ、カジカなどが採れた。やはりこのポイントはカワムツではなくてヌマムツである。それもここの面白さだろう。

手がかじかんで言うことを聞かなくなってきたので、網果のうち数匹を持ち帰り、引き上げることにした。帰宅後は早速水槽を準備してオヤニラミ水槽を立ち上げた。レイアウトはワンドで拾ってきた流木を数本突き刺し、マツモと途中の水路で拾ってきたヒメタニシ、マシジミを入れる。ろ過は底面式を採用した。繁殖期まで手狭な30センチ水槽で我慢してもらおう。同種間の凄まじい威嚇が始まったらもっと大きな水槽に引っ越す予定だ。

それにしてもこのオヤニラミの蠱惑的なことはどうだ。日本淡水魚を大和撫子的楚々とした女性としたら、オヤニラミは化粧の濃いイケイケギャルとでも言えよう。どちらが良いということではない。要は、バランスの問題だ。

伊藤 匠

楽しい川遊び

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