未来に残すものは子供達で考える。~岐阜県・郡上市「水切り大会」の舞台裏~

2018年6月1日(更新日:2018年6月1日)
その他の遊び方子どもと川遊び東海エリア水切り

川遊びマップを運営するClearWaterProjectでは「子供達が目を輝かせて飛び込んでいくような川、海、湖を未来の世代に。」というビジョンを掲げている。

そのビジョンを掲げる中で気を付けていることは“子供なしで話を勝手に進めない”ということだ。
大人の押し付けで、未来に残すものを決めないようにしようと思っている。

先日訪問した岐阜県・郡上市では、そのような我々の考えを、見事に実現している取り組みがあった。

「郡上市小中学生 水切り大会」

5月27日に岐阜県郡上市開催されたのは「郡上市小中学生水切り大会」。
天候にも恵まれ、川の水量も落ち着いており絶好の“水切り”日和の中で開催された。

※水切り:水面に石を投げて跳ねさせる遊び

国内で水切りの大会は複数あるが、今回の大会が異色なのは参加者が小中学生であることと主催が高校生であることだ。

無事に運営されるのか正直ドキドキしながら見ていたが、小学生の部、中学生の部、急遽設定された大人の部でそれぞれ10~20人ほどが参加し、みんなが楽しむことができた大会となった。

なぜ高校生たちが主催したのか?

さて、この水切り大会はなぜ高校生によって開催されたのだろうか。

実は、岐阜県・郡上市では、平成24年に発足した郡上市市民協働センターがGOOD郡上プロジェクトというコンテストを毎年行っている。

市民が「郡上をもっと魅力的にするため」の企画を提案し、表彰された企画を実現するプロジェクトなのだが、企画を出しているのは郡上市内全8中学校と2高校の生徒たちだ。

平成29年11月に行われた第6回GOOD郡上プロジェクトでは当時の中学校3年生たちが企画した「小中学生水切り大会」が入賞し、今年4月の高校進学をまたいで実現した。

開催にあたっても協力をした郡上市市民協働センター・上村さんは、

「高校を卒業すると、多くの子供は郡上市外に出て行ってしまう。」

「そんな彼らに故郷とのつながりを感じられるものを残したい。」

「“自ら企画した大会が続いている!”と、帰ってきたときに故郷とのつながりをより深く感じられるのではないか」

と仰っていた。

高校生たちに話を聞いてみた

当日の大会の運営を行なった高校生は、増田君、清三津(しみづ)君、井上君、和田君の4人。
開催にあたってどんなことを考えていたのかを聞いてみた。

-水切りの大会を行なおうと思ったキッカケは?

「水が豊富な郡上市なので、川に関わる遊びで何かをしたかった。すでにアユ釣り大会は先輩たちが実現したので、自分たちもよく遊んでいた水切りが良いのではないかと思いついた。」

-開催する上で大変だったことは何か?

「何回も打ち合わせを行なったこと。(6月1週目にアユ釣り解禁があるため)日程を気にしたり、当日の天候も気にしないといけなかった。」
「また、参加者を集めるのも苦労した。今日本番では、小さい子たちの誘導をすることなど思いがけないこともたくさんあった。」

-来年以降も水切り大会を開催したいか?

「参加してくれた人たちが楽しんでくれていたから来年も実現したいと思う。」
「目標人数に少し足りなかったので、来年はもっと参加者を増やしたい。」

4人とも来年以降もやっていきたいと、強く言っていたのが印象的だった。

未来に残すものは子供達で考える

冒頭の話に戻るが、地域で何か活動をするときにも「子供達に何を残すか」ということはたびたび議論されると思う。

郡上市での取り組みはその議論の中に子供達を巻き込むことによって、残すもの(=結果)だけではなく残し方(=過程)も子供達が決めていくところが印象的だった。

郡上市市民協働センター・上村さんの言葉にもあったが、彼らはいずれ郡上から出て行ってしまうかもしれない。

それでも、彼らが自ら大会を開催したことで、故郷とのつながりをより強く感じ続けてくれるのではないだろうか。

全国でもこのようなイベントが、水辺に関わる形で増えてほしいと感じる取材であった。

川遊びマップ編集部 西山

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