先回ご紹介した「川のさかな」は、イラストのタッチも素朴で子どもへのクリスマスプレゼントにぴったりでしたが、今回ご紹介するのは大人にも十分に楽しめる本です。
琵琶湖の魚 (偕成社 刊)
ここ最近、琵琶湖通いしていたのも実はこの本がきっかけだったりします。琵琶湖には琵琶湖にしかいない固有種がたくさんいます。水草も豊富で二枚貝の宝庫。
憧れではあったけれど、それ故に中々足を踏み入れられないでいました。そんな時に図書館で見つけて衝撃を受けたのがこの本なのです。
鮮やかな色彩と緻密な筆致
どうですか、この絵。徹底した観察をしないとこう緻密に鮮烈には描けないですよね。細密画と言ってもいい。絵やイラストは写実性では当然写真には敵いませんが、良いところは、特徴をつかんでわかりやすく表現してあるところだと思うのです。一度同じ人間の目というフィルターを通したものが再現されているので、心地よく見られると思います。
実物や写真を見るときは、絵で得た感覚をベースに照らし合わせるように見るので、しっくりくる気がします。
地味に思われがちな淡水魚ですが、じっくり観察すると様々な色彩を纏っていることがわかります。この本はそのことに気づかせてくれた本なのです。
温かみのある図鑑
絵だけではなく、紹介されている魚の特性や、琵琶湖の流入河川や内湖などの環境についても触れられており、絵本の範疇に収まらないのです。図鑑と言ってもいい。けれど、全体から温かみを感じられ、やはり絵本なのです。
子どもにとっては、淡水魚の正しいイメージが得られ、大人にとっては新たな発見と興奮が得られるでしょう。見飽きるということがない。プレゼントに買って、自分も楽しむのもいいではないでしょうか?
この本を買ってから、琵琶湖の魚を自分の目で見てみたいと思うようになり、そして琵琶湖に通うことになりました。憧れの地は奥が深く、これから何年もかけて通うことになりそうです。
伊藤 匠
こちらから購入できます