【テンカラ大王の教え】一人が持ち帰るだけで魚は減る

2014年11月22日(更新日:2017年12月24日)
テンカラ

自分一人くらい魚を持って帰っても魚は減ることはないと誰もが思っている。ところが確実に減ることを示唆する調査がある。これは禁漁期間中に長野県のある小渓流の距離500m、川幅2.2mの区間を調査のためのC&R(キャッチ&リリース)区間として、フライとテンカラでイワナを釣り、標識をつけて再放流し、死亡率などを調査したものである。興味あることは毛バリによる死亡率はわずか2%であったこと、つまり毛バリでC&Rするならほとんど死なないことである。

さらに、もしこの小渓流がC&Rでなかったら、生息数の35%が13人/回の釣りでいなくなると予想されたとしている。これは13人の釣り人が1回だけ、あるいは一人が13回釣りをしただけでそこの35%を釣ってしまうことである。ということはその3倍、のべ40人が釣ればそこの魚は絶滅することになる。

自分一人が持って帰っても大したことないと思っているが、その渓流で釣りをするのは自分だけではない。昨今の情報化では、あそこは釣れるという情報はあっという間に流れ、ソレッと人が押し寄せれば一気にいなくなる。始末が悪いことに一旦流出した情報は拡散し消えることがない。

ここは調査のための小渓流なので渓流域や本流域とは違うかもしれない。しかし、小渓流ということは種沢なので、このような源流で釣りまくってしまえばそこで繁殖し、渓流や本流に下る魚がまったくいなくなることになる。このようなところでの釣りは赤子の手をひねるようなもので、子供と相撲をとって勝ったと喜ぶ大人のふるまいである。種沢になる源流域での釣りを禁止しない限り魚の増殖は望めない。

posted by 石垣尚男

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