今日もガサガサ日和 Vol.49 〜誰も知らないが私は知っている

2017年8月8日
ガサガサ

私は水路やドブが好きだ。などと言えば、怪訝な顔をされそうだが、好きなのだ。歩いていても、車を運転していても横を通りかかれば立ち止まって覗かずにはいられない。何より、アクセスしやすいし、中に入りやすい。生き物も捕まえやすいのだ。

これまでも水路などでガサガサしていて、土地の人に、この上に浄化槽があるから入らん方がええよ、などと笑いながら言われたりした。一瞬は躊躇するのだが、それでも興味の方が勝って続けてしまう。普通の人は見向きもしない、見ないようにしているドブですら、場所によってはいろんな生き物が棲んでいて、様々に発見がある。

この気色悪いピンク色の塊は外来種のスクミリンゴガイ(ジャンボタニシ・オバケタニシ)の卵。これだけあれば捕食されるだろうと思われるが、この色とそのものが持つ毒性のおかげで食べられることなく、爆発的に増えてしまっている。今や全国どこの田んぼや水路でも見られる光景になってしまった。

ヌマガエルやドジョウの赤ちゃんなど、この時期ならではの可愛い生き物たちも、水路には集まっている。田んぼの中干しで生育の場を奪われた生き物も、その少数がどっこい生きているということがよくわかる。

そして何より面白いのは、こんな場所にこんな生き物が、という驚きだ。このドブではカワバタモロコやトウカイコガタスジシマドジョウが多数見つかった。どちらも絶滅危惧種である。おそらくこのドブの周囲の住人の誰も知らないはずだ。見向きもしないドブに絶滅危惧種がこんなに棲んでいるとは。

メダカも絶滅危惧種だし、ドジョウもそうだから、もはや絶滅危惧種という言葉に珍しさがなくなってしまったこの異常事態。このままいけば、水辺の生き物は、外来種か絶滅危惧種になってしまうに違いない。

こんなにも身近な場所に、これほどの野生生物が溢れる環境は水辺以外にはない。それは川でも水路でもドブでも同じこと。だからもっと水辺の価値を認め、注目すべきなのだと思う。

と、大上段に構えてみたものの、待てよ私のこの種の面白がり方は、水面下の別世界、誰も知らないが私は知っているという優越感に近いものがある。という事にふと気付いたりもして、些かジレンマなのだ。

川遊びマップ編集長
伊藤 匠

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