今日もガサガサ日和 Vol.61 タイリクバラタナゴ

2019年5月25日(更新日:2019年5月30日)
ガサガサ

随分と久々の更新となった今回はタイリクバラタナゴがテーマ。

多くは在来のニッポンバラタナゴと交雑してしまう悪い外来種として登場しますが、釣りの対象として、観賞魚として根強い人気があります。

僕も好きです。なんと言っても地味な淡水魚の中にあって精一杯発色している感じが好き。

二枚貝(マツカサガイ・イシガイ・ドブガイ等)と、タイリクバラタナゴの繁殖

しかし、在来のタナゴに限らずこの外来種のタイリクバラタナゴでさえ激減しているのが事実です。タナゴの仲間は二枚貝の中に産卵して繁殖するという特異な生態を持つ魚。繁殖に欠かせない二枚貝が、水質悪化や環境の改悪で絶滅の危機に瀕しているのですから当然です。ガサガサしていて歓声をあげて嬉しい生き物の一つがマツカサガイ、ドブガイ、イシガイといった二枚貝の仲間。ほとんど目にすることはありません。

田んぼや畑の水路は生き物調査の秘密のポイント

前にも述べたようにあそこに行けば、あの生き物は絶対に獲れる、という秘密のガサガサポイントがいくつかあります。今回はタイリクバラタナゴを見に、そんな秘密のポイントの一つ、なんて事のない、畑の真ん中にある水路に行きます。

水路って、水路同士が交わる所とか、耕作地に引き込むような所が少し深くなって升のようになっていたりします。農閑期で水路は干上がっていてもそこだけは水が溜まっているものです。こういうところが怪しい。怪しさしかない。そんな所を見て素通りはできません。夏の水田中干し時期はここにウジャウジャ生き物がいます。今日のポイントもそんな場所を探す中で見つけたポイントなのです。

上から覗くと、ユラユラと魚影が見えます。それもかなり体が薄い。常々、体の薄さはタイリクバラタナゴの魅力の一つだと思っています。横から見ると小判形で不格好、真上から見るとペラッペラ。これがいい。

ガサガサ、というよりはタモ網で掬ってみるのでした。

タイリクバラタナゴの鮮やかな婚姻色

はい、今回もやっぱり入りましたよ、タイリクバラタナゴ。網の中で控えめにバタバタ動く振動が手に伝わります。掬い上げてすぐの婚姻色の鮮やかさは息を飲むものがあります。写真でその全てが伝わらないのがもどかしいですね。

体長6センチほどのオス、メスが10匹ほど入ります。この升で越冬していたのでしょう。メスはいたって地味。

この付近の水路をガサガサしてみたけど、二枚貝は見つかった事はないです。ただ、この上流に水路の元になる溜池があるのでもしかしたらそこで繁殖した魚が増水時に流れてきたのかもしれません。その溜池は立ち入り禁止なので確かめようがないのですが。

美しいタイリクバラタナゴを飼育する

タイリクバラタナゴは飼ってみると良いでしょう。飼い易いし、美しいから見飽きることもありません。二枚貝さえ手に入れば、繁殖もそう難しくはないです。ただ、自然環境で出ている発色を維持するのは中々難しいですね。

外来種である事は重々承知の上、そんな外来種でさえも棲みにくくなっている日本の水環境にため息をつきつつも、今日もエサやりに心躍ります。

伊藤 匠

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