ザリガニは食べられますか?
こんにちは。
CWPスタッフのユキコです。
先日、川遊びマップ編集部の伊藤(ガサガサ日和シリーズ執筆者)が実施した環境学習のイベントを手伝ってきました。
そこで「環境や生き物に対する質問」を小学生くらいの子供たちに聞いたとき、「ザリガニは食べられるの?」という質問が割と多かったことに驚きました。
外来種を食べるテレビ番組の影響もあるのでしょうか。
外来種の存在や生態系への影響を知ること、命を食べるということを意識すること、どちらもとても素晴らしいことです。
さて、冒頭の子供たちの疑問「ザリガニは食べられるのか」。
結論から言うと、しっかり火を通せば食べられます。
しかし、知識として子供たちに伝えるだけでは何だか味気ないですよね。知識だけを伝えるのと、経験を伴った知識として伝えるのは違うと思うのです。
そこで、子供たちの疑問に誠意をもって答えられるよう、外来種として有名な「アメリカザリガニ」を食べてみました。
ヨーロッパでは高級食材、アメリカでは身近な食材だというザリガニ料理。
気になるお味はいかに?
要注意外来生物 アメリカザリガニ
ザリガニ料理のレポートの前に、ちょっとだけアメリカザリガニについて学んでみましょう。
アメリカザリガニの本来の生息地はアメリカ合衆国の南部です。
日本にはウシガエルのエサとして持ちこまれました。
ウシガエルもアメリカ原産で食用として1918年ごろに日本に移入されましたが、カエルを食べる文化は日本には根付かずアメリカへの輸出品として養殖されていました。
アメリカザリガニは1927年に養殖ウシガエルのエサとして輸入されたのが始まりです。
しかし、養殖場から逃げだしたり、ウシガエルの養殖が衰退した後に適切に管理されなかったりといった状況があって、各地の水田等に生息域を広げていきました。
ちなみに、2020年11月2日より外来ザリガニは「特定外来生物」に指定され、新たな飼育や販売を原則禁じられています。
アメリカザリガニはこの指定から外されていますが、それは、すでに広く生息しているアメリカザリガニが指定されることで「川や池に大量に捨てられ、混乱を招く」のを防ぐためとのことです。
絶滅危惧種を含む水生昆虫や魚類を食べてしまったり、水草を切ったり、稲の苗を傷つけてしまったりなど、アメリカザリガニが日本の環境に大きな影響を与えていることには変わりないので、飼っている方は最後まで責任を持って飼育し、野外に放さないで下さいね。
アメリカザリガニを食べる事前準備
アメリカザリガニを食べるには、事前準備が大切です。
まずは捕まえること、そして泥抜き。
捕まえる
まずは、アメリカザリガニを捕まえます。
元々日本にはいなかったアメリカザリガニ。
残念なことに現在では、アメリカザリガニは日本の川、田んぼ、用水路など、どこにでもいます。
今回は割ときれいな小さい川で採取しました。
川辺の草が茂ったところの下流にタモを置き、上流側を足でガサガサすれば簡単に取れます^^
泥抜き
次に、泥抜きをします。
普段泥の中にいる生物は泥の臭いが染みついています。そこで真水で数日浸けておくことで泥の臭いを抜くのです。
ただ、アメリカザリガニはどの程度泥臭いのか?
何日泥抜きすればいいのか?
食べたことが無いので未知です。
今回は3日間、泥抜きを行いました。
アメリカザリガニの調理
準備が整ったら調理開始。
下処理と調理についてまとめてみました。
下処理
まずは下処理として、真水で表面を洗いしっかり茹でます。
子供の頃に飼っていたザリガニ。
少し複雑な気分とともに、生き物の命を食べるということを感じます。
どの程度泥臭いのか分からなかったので、臭い消しにネギと一緒に茹でました。
寄生虫・ウイルスは熱に弱いので、今回は食材に火をしっかり通す、火を通す前の食材や食材に触った手で台所や調理器具を汚染しない等に注意しながら調理しました。
こちらが茹で上がったザリガニです。ここまでくると、見た目も、湯気と共に香る匂いも、ほぼエビです。
次にエビと同じように、殻を剥いていきます。
殻は、手で剝けるものの、エビより少し硬い感覚です。
そして何より感じたのが、身が小さい!
頭の割合が大きすぎます 笑
調理
茹でただけのザリガニを試食。
泥臭さは全く感じられません。
これは安心して料理に使えそうです。
今回は、小麦粉をまぶしチリソースで煮込むことにしました。
そう、メニューはエビチリ・・・ではなくザリチリです。
味の比較のため、エビとイカも同様に調理します
アメリカザリガニの実食
恐る恐る食べてみます。
ん?・・・これは・・・ほぼエビですな。
臭みは全然なく、本物のエビより臭いがしないくらい。
ただ本物のエビと比べると、プリプリ感と旨味が足りず、味と食感は少し劣るでしょうか。
この後、普通に食卓に出しましたが、夫も「案外普通だね」といいながら食べていました^^;
絶品!というほどではないものの、料理として十分成り立っていると言える範囲でした。
外来種を取って食べてみるというのは、なかなか興味深い経験でした。
これで実体験を踏まえて、子供たちに回答できます。
何か別の環境に影響を与える外来種が手に入ったら、また料理に挑戦してみてもいいかなと思いました!