外から見ていて、最もわかりやすい生き物の隠れ家が、水際に生える植生の間でしょう。下半分水中、上半分空中に出ている抽水植物の根元や、全てが水中に沈む沈水植物などの間に潜んでいます。「今日もガサガサ日和Vol.53 生き物はどこに隠れているのか【水際岸辺編】」で紹介したえぐれた部分と連続していれば、まさにゴールデンラインと言えますね。
なぜこう言った場所に生き物が潜んでいるのか、その理由は多岐にわたります。
水際の植物は水流を弱める働きをする為、泳ぎの下手な生き物が身を寄せて身を休めることができますし、水温が変化しにくい止水域を形成しやすいので、魚の冬眠場所にも最適なのです。そして産卵場所、子育ての場所としても多くの生き物が利用しています。
また、ヌマエビなどの草食性の生き物の餌にもなり、そこに多くの捕食者が次から次へと現れてダイナミックな生態系が形成されるのです。やはり植物は陸上、水中問わず生態系の根幹を支えるものということですね。
そして、魚の天敵は何と言っても頭上から襲ってくる鳥ですから、それらから身を隠すことができるという点も重要です。
ですから、水際あたりに植物が豊富に茂っている場所や、水中に水草が繁茂するは、多様な生き物が集まる、絶好のガサガサポイントと言えるのです。そのような場所は、流路や水深、川幅などが多様に変化した場所にしかありません。まっすぐで、均一的、固めた変化のない川(?)にはそういった場所が生まれる隙がないのです。
川の中を歩いていると、足の周りを魚が群れを成して泳いでいく光景によく出くわしますが、それをタモ網でとるのは至難の技です。とれなくはないですが、疲れるだけで効率が悪い。ですから、魚や他の生きものがどのようなところを好むのかその生態を知った上でタモ網を入れれば、効率良く楽しく生き物と出会えるはずです。
このようなところは水流が弱くなっているところが多く、岸辺近くなので、安全の面からでも遊びやすい。子どもとガザガサするなら見た目にもわかりやすいしオススメですよ。
川遊びマップ編集長
伊藤 匠
★水際岸辺編も併せてご覧ください★